犬神家の一族

前から見たい見たいと言っていた犬神家を観にいく。原作本も漫画版も読み漁るくらい好きだよ金田一
ストーリーが完全に頭に入っているので、旅館の窓を開いた時点で、「ああ…あの窓から双眼鏡で覗くと珠世のったボートが沈んで…」とわくわくする有り様です。
しかし、映像化された犬神家は何度か見たことあるんだけど、肝心の市川崑の映画版は見たこと無いんだよね。30年前のヤツ見られないかなー?


昭和ど真ん中に出た小説が原作の映画にネタバレもくそも無いだろうと思うけど、知らない人のためにネタバレなしで感想を。
そもそもの原作が面白いので、映画版も面白かったよ。しかし、前半はまあいいとして、後半の方は駆け足で話が進んでしまったので、いろんなことに説明がなされてなかったりするのがちょっと難点。
原作を完全に把握している人間ならともかく、初めて見る人にはわからないことだらけだと思う。

一緒に観にいった魔王さんがそんな「初めて見る人」だったのだが、人間関係や人物描写など、よく判らなかったことが多かったらしい。あとで私がいろいろ解説したらおぉ〜っと言った感じで唸ってたよ。
それでもなかなか楽しめたようで、金田一ファンとして嬉しい限り。

初めて見る人は、私のように細かいところまで解説できるような人と一緒に行くのがお勧め。いなかったら映画見終わった後原作読みなさい。


微妙にネタバレ。ここから先は反転で。
佐武が死んだショックで、竹子がおかしくなる、という描写はするくせに、肝心の小夜子がおかしくなる描写をしてないのはどういうことだ。佐智の死体を見て倒れてからしばらく出てこなかったと思ったら、いきなりカエ ル抱いて「面白そうなことしてるわね〜」とか言われても、訳わかんないでしょうが。


人物描写がとにかく説明不足。犬 神佐兵衛と野々宮大弐の関係なんか、ほとんど語られてなかったので、初めて見る人にはなんで珠代がそこまで佐兵衛に可愛がられてるのかよく理解できない。(確かに劇中で実の孫だったとか言われるけどさ〜あの辺にはもっといろいろ複雑な事情があるわけだし〜)


青沼菊乃と宮川香琴が全くの別人でした。原作では同一人物だったのに。(原作では病気で顔変わっちゃって老け込んだから松子に気づかれず、琴の師 匠をしてた。)
だから松子が琴の練習してる時に佐 清(静馬)が入ってきたシーンで、物凄い深読みしてドキドキしてたよ。かなり顔が変わったとはいえ自分の母親だから、静馬には一目でわかって見つめてたのかなって。
したら別人でした!何も関係ない人でした!…深読みするだけ損だったか…。どれだか知らないけど、かつて映像化された犬 神家で、佐 清が目の見えない香琴の手を取って歩いてあげたりして、「お母さんには優しい静馬」という演出をした作品があったそうな。そういう感じの、原作には無い要素を映画には期待したのにな〜〜。


普通に頭を斧(ヨキ)でかち割られる佐 清さん(青沼静馬)
犬 神家ってぶっちゃけ逆立ち死体さえあればよくね?
…という雰囲気だが、やっぱちゃんと何故死体が逆さまでなければいけないのかの説明をして欲しかったな。先に中 の人が静馬だとばらしたらいかんよ。
↓死体が逆さまで、下半身だけ水の上に出てないとダメな理由↓

 ヨ
 キ
〜〜〜〜〜
 ケ
 ス

ちゃんとヨキが出てるでしょ?

総括すると、「まぁ、悪くないんじゃね?」って感じでした。
金田一の空気読めない子ちゃんっぷりも可愛いし。あの歳で走り回って若々しい石坂浩二は凄いなー。